文化祭:01@quka
十一月の、冷えた朝。はあ、とこの時間だけほんの少し白くなる息をひとつつきながら、ポケットに手を突っ込んで、霜月は商店街の閑散とした石畳に立っていた。今日はこれから文化祭がある。きっと、このちょっと寂れた温泉街も少しは賑わいを見せるだろう。
霜月は緩みそうになる口元をむずむずさせながら、首にぐるぐる巻いたマフラーに鼻を埋めた。時刻はまだ六時前。周囲にクールだなんだと言われながらも霜月だって所詮は高校生。お祭りごとには胸を弾ませずにはいられない。
あと一時間もすると担任の熱血教師極月が生徒たちを一人一人叩き起こしにやってくるだろう。昨日のホームルームでは張り切りすぎて隣のクラスの担任に声がうるさいと怒鳴られていた。
そわそわと落ち着きなく地面を踏む。今にも走り出してわーわー叫びだしたいくらい気持ちが高揚している。
一体誰が来るだろう?
霜月はポケットから手を引っ張り出して指折り数える。確か、皐月はマカロンを売るとか言っていた。水無月双子はカフェだっただろうか。
しかも今日はツイッターで代わる代わるフォロワーさんとお話しをするらしい。
霜月は携帯電話と取り出してかちかちとタイムラインを追う。早速リプライを飛ばしてきているフォロワーの姿があって、霜月は今度こそ笑いをこらえきれずに口元を綻ばせた。もう、お祭りは始まっているらしい。
くる、と踵を返して家に向かって真っすぐ走り始める。は、は、と弾む息が白くて、それすら妙に可笑しくて、はためくマフラーに隠れて笑った。笑った。
文化祭が始まる。