超絶短い
せんぱい、とあの子があたしを呼ぶ声の甘さにずっと、気付かないふりをしている。
「先輩先輩、睦月こないだめっちゃ美味しいお店見つけたんすよ」
「まじでー!? どこどこ? いつ行こうか?」
他愛ない風で誘えば、少しだけ顔を赤くした後にスケジュールの空きを教えてくれるとわかっているから。
発されるシグナルから目を背けて笑っても、手を伸ばしてくれるとわかっているから。
それがどんなにひどいことなのか、知っていて。
「今度の土日なら空いてるんですけど、先輩どうっすか」
「あ、空いてる! いいよーデートしよ!」
「────っ、はい!」
一瞬言葉に詰まったあとに見返してきた瞳はきらきらの恋の瞳。
むっちゃんはかわいくて、あたしには少し眩しい。きっとこの子はあたしをまるごと好きになってくれるのに、どうしてあたしはこの子を手に入れようとしないんだろう。
「睦月はかわいいなあ」
「せ、先輩の方がかわいいっす」
いっそ全てさらってくれたらいいのに、だなんて、最低だ。
requested by @Mei0r/130317/(あまりの短さに変な笑い出た)